【2025年版】家賃設定で空室ゼロも夢じゃない!賃貸経営者が絶対に知っておきたい「適正家賃」の決め方

じめに|家賃って、どうやって決めてますか?
賃貸経営をしている方、もしくはこれから始めようという方に、まず聞いてみたいのがこの質問です。
「家賃って、どうやって決めてますか?」
たぶん多くの方が「周辺相場に合わせて」「不動産屋に相談して」などと答えるかもしれません。でもそれだけで本当に大丈夫でしょうか? 周りが6万円だからウチも6万円。築年数が10年だからちょっと下げて…そんな“なんとなく家賃設定”が、あとあと命取りになることも。
今回の記事では、**「適正な家賃って何?」**という基本から、収益を最大化しながら空室も防ぐ家賃戦略まで、実例も交えてたっぷり解説していきます。ぜひ最後まで読んで、あなたの物件の「価格のつけ方」を見直すきっかけにしてください。
第1章|そもそも「適正家賃」とは何か?
まず最初に押さえておきたいのが、「適正な家賃」という言葉の意味です。
一言で言えば、「その物件が本来持っている価値を、入居者が納得して払ってくれる価格」です。
適正家賃を構成する要素は、大きく以下の3つです。
- 立地とエリアの需要
- 物件のスペックと築年数
- 入居者が感じる“暮らしやすさ”という付加価値
意外と見落とされがちなのが3番目。たとえば同じ築15年でも、「内装がきれい」「収納が多い」「周辺が静か」「ネット無料」など、“暮らしやすさ”の演出があるだけで、入居者の印象はガラッと変わります。
第2章|家賃を高くするとどうなる?安くするとどうなる?
「空室が怖いから、少し安めにしよう…」
「この設備なら、強気でいけるはず!」
そうやって上下させた家賃。その結果どうなるか、具体的なリスクとメリットを見ていきましょう。
▶ 高く設定しすぎた場合
- 競合より見劣りすると、反響が激減
- 募集期間が長引き、広告料やフリーレントが増加
- 結局、入居直前で“値引き交渉”が入る
▶ 安く設定しすぎた場合
- 短期入居者が増え、退去コスト増加
- 入居者層の質が下がり、トラブルも増える可能性
- 修繕・税金・管理費が重くなり、実質赤字経営に
どちらも落とし穴があることが分かりますよね。だからこそ「ちょうどいい」価格、つまり**“適正”な家賃を導き出す技術**が求められるんです。
第3章|「周辺相場調査」は基本中の基本
適正家賃を設定するためには、やはり周辺物件との比較が欠かせません。
おすすめなのは、以下の3段階で行う“相場調査ルーティン”です。
ステップ①|ポータルサイトで比較
SUUMO、アットホーム、ホームズなどに出ている物件をチェック。
- 自分の物件と同じ間取り
- 同じエリア
- 同じような築年数・設備
この条件で、最低10物件は比較してみましょう。Excelにまとめると後から見返すときに便利です。
ステップ②|実際に競合物件を内見してみる
管理会社に依頼すれば、他の空室物件を内見することも可能です。築浅でも管理が悪いと印象は下がりますし、逆に古くても手入れが行き届いていると、家賃に対する納得感が出ます。
ステップ③|現場の声を聞く(=管理会社)
「反響があるのはどんな物件か」「今この家賃では厳しい」など、毎日入居希望者と接している現場の声は非常に貴重です。
関連サイト:「健美家(けんびや)」
第4章|築古物件こそ「価値を演出」せよ
「築30年だから、家賃は相場以下じゃないと無理だよな…」
とあきらめていませんか? 実は、築古こそ工夫次第で“価値を引き上げる”ことができるんです。
以下のような“リフォーム&演出”は、実際に家賃アップに成功している定番例です。
- 宅配ボックスの設置 → 若年層に大好評
- 室内洗濯機置き場の新設 → 単身者に安心感
- アクセントクロス → 見た目だけで印象アップ
- ネット無料導入 → 月額500円程度の投資で家賃+2,000円も狙える
- ウォシュレットやモニターホン → 築年数の印象を薄めるアイテム
要は、**「あ、この家賃なら全然アリだな」**と思わせられれば勝ちです。
第5章|家賃を決める3つの視点【経営者目線編】
家賃設定は、入居者目線だけではダメです。経営者として押さえるべき3つの視点があります。
① 収益性(利回り)から逆算
たとえば、表面利回り7%を確保したい場合:
- 物件価格+諸費用が5,000万円
- 必要家賃収入=5,000万円 × 7% = 350万円/年
- 月の家賃合計 ≒ 29.1万円 → 1戸あたり約7.2万円(4戸なら)
これが“必要売上”の考え方です。
② 空室率とのバランス
空室率を5%以下に抑えたいなら、やや安め設定で満室経営を狙う方が正解かもしれません。
反対に、1割の空室は覚悟してでも「良質な入居者」に絞りたいなら、やや高めで強気設定もアリ。
③ 修繕・税金・ローンとのバランス
家賃が下がっても、固定資産税やローン返済額は下がりません。
数字に強くなること。これが「家賃で失敗しない」第一歩です。
第6章|家賃は“価格”ではなく“提案”である
最後に大切な視点をひとつだけ。
家賃は「提示する価格」ではなく、「入居者への提案」である
「この金額で、こういう生活ができますよ」
「この設備があるから、この金額なんですよ」
「初期費用も抑えて、安心して住めますよ」
これを言葉だけでなく、物件写真、キャッチコピー、内見時の清潔感…すべてで“伝えて”いく。それが、適正家賃のもうひとつの意味なんです。
第7章|入居者のニーズに寄り添う価格戦略
「入居者が払える価格」と「入居者が払いたい価格」は違います。
では今、実際に入居者は何を求めているのでしょうか?
▶ 若年層(20~30代)
- ネット無料
- オートロック
- 宅配ボックス
- 清潔な水回り
若年層は家賃よりも”コスパ”を重視する傾向があります。「月5,000円高くても、ネット無料でスマホ使い放題ならこっちを選ぶ」といった意思決定も多く見られます。
▶ ファミリー層
- 駐車場2台分
- 階下に音が響かない構造
- 学区と治安
- 収納力
ファミリーは”住み心地”と”長く住める環境”を重視します。小児科やスーパーの位置まで見ている方も多いです。
▶ 高齢者層
- 階段なし(1階またはエレベーター)
- バリアフリー設備
- セキュリティ
- 病院やバス停へのアクセス
今後、さらに増える高齢者層への配慮も大切です。価格設定だけでなく、募集時のメッセージにも気配りが求められます。
第8章|家賃を見直すタイミングとやり方
家賃の見直しは、以下の3つのタイミングで行うのが効果的です。
① 退去後のリフォーム・再募集時
- 原状回復を機に軽微な設備投資をする
- 内装・写真・広告の見直しと同時に価格も調整
② 周辺相場が変動したとき
- 再開発や大学・企業の移転で需給バランスが変化
- 定期的にポータルサイトで競合チェック
③ エリアの競争が激化していると感じたとき
- 管理会社と月1回は情報交換
- 反響率や内見後のフィードバックを基に再設定
見直す際には「下げる」だけが選択肢ではありません。「家賃据え置き+設備強化」「フリーレントで実質値引き」など、柔軟な考え方が重要です。
第9章|管理会社との連携で家賃力を最大化
家賃設定を最適化するには、「数字」だけでなく「現場の声」を聞くことが何より大切です。
管理会社は“最前線”のマーケター
- 月間反響数
- 内見から成約へのコンバージョン率
- どの家賃帯で一番反応があるか
こうしたデータは、現場で動いている管理会社にしかわかりません。
管理会社との関係性を強化するには?
- 定期的に物件訪問+現状確認
- 募集資料(チラシ・写真)の改善提案を受け入れる
- 物件の魅力を深く説明できるように資料共有
管理会社はオーナーと入居者の“間”に立つ存在です。 「このオーナーさんの物件は、安心して紹介できる」 そう思ってもらえれば、自然と紹介も増えます。
第10章|実例:家賃設定で失敗した話、成功した話
実際に家賃設定が賃貸経営にどう影響するか、リアルな事例を紹介します。
ケース①:強気の家賃設定で1年空室→1万円下げて即入居
築8年の2LDK、駅徒歩5分の好立地。オーナーは「ここまで駅近なら12.5万円は取れる」と強気設定。しかし内見は入るが申し込みゼロ。結果、1年空室。管理会社の提案で11.5万円に変更すると、すぐに入居決定。
教訓:適正家賃は「入居希望者が感じる価値」で決まる。
ケース②:リノベで家賃1万円アップに成功
築25年の1Kマンション。空室が続いていたが、室内にアクセントクロス、キッチンをミニからセパレートへ変更し、Wi-Fi無料化。家賃5.2万→6.3万にアップ、しかも即入居。
教訓:「価値の見える化」は家賃アップの最大の武器。
まとめ|家賃を見直すだけで、経営は変わる
家賃は一度決めたら終わり、ではありません。
空室が続いたとき、エリアの人気が上がったとき、退去後に内装をいじったとき——見直すチャンスはいつでもあります。
あなたの物件にとって、いまの家賃は“適正”ですか?
もし少しでも違和感があるなら、今回の内容をもとに見直してみてください。
家賃が変われば、入居者が変わり、経営が変わります。
そして何より、「この物件を選んでよかった」と思ってもらえる。それが、オーナーとしての一番の喜びなのではないでしょうか。
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